心理とボディワーク
心理の世界から見たトラウマ、ボディワークの世界から見たトラウマ、そして、一般に溢れている間違えた危険なトラウマワーク、、私の体験からの見解を書いてみましょう。
トラウマの解放、わたしもロルフィングに出会う前、とても興味を持っていました。自分を制限しているトラウマを解放しさえすれば、自分はラクになれる、、解放されるハズだ。しかし、一般に流布するトラウマワークは危険であり、再トラウマ化されてしまうことの知識がなく、ただ一時の解放と勘違いしている劇的で激しいワークが持てはやされている、そこではなかった、、という経験を、後に学びを深めることで気がつきました。
トラウマワークへの興味
この心の傷が解消されたのなら、、。幼少期から受けてきたこのような仕打ちや、他者からの介入、ひどいこと、、そのため私は縛られている、重荷を背負って生きている。たぶん、このような方は多いでしょう、、だれしもあると思います。
わたし個人としての体験
ボディワークを学び、ロルフィング、ソマティックエクスペリエンス(トラウマワーク)、オステオパシーのバイオダイナミクスの学びなどから、この世界の現実を、見てきました。それは、体験を通して、現実の現象として捉えられています。体と心はつながっている。
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わたしは二十歳前後の2年間完全に他者との関わりのない引きこもりの時期を過ごしていました。その後、3年間ほど海外をバックパッカーとして旅をし、精神と祈り、アジア圏、チベット、インド、、あたりに日常としてある物質以前の何かというものを、無意識のうちに肌で感じ、変化してきたと思います。その後、主にオステオパシーのバイオダイナミクスの学びを通して、からだは感情や思考とつながっていることを改めて感じています。
一般に流布するトラウマワークの間違い
まだロルフィングを知る前、わたしがロルフィングに興味をもった最大の点は、”トラウマを解放できる”ということでした。それは、ある雑誌にのっていた色々な精神世界をワークする手法を紹介しているワークの一つとして載っていました。当時のロルフィングは特に「痛い!」ということで有名で(※わたしのロルフィングは痛くないです。主に軽く触れるだけ。着衣のまま受けられます。)、何か体の解消とともにトラウマが解放される、というような説明が書かれていました。トラウマの解放!?、当時もまだしんどい時期を彷徨っていたので興味ありありでした。
痛いロルフィングを受け、、でも、そんなに変化は感じませんでした。その後、また別のトラウマワークを受け、、それは、過去の辛い体験をシェア(絶対にダメ。)したり、大声で叫んだり、体の限界まで暴れたり、物を殴り続けたり、叫んだり、、(これらも絶対にダメ、余計に調子悪くなります。)、、その時は解放されたような感じがしたものですが、のちにどんどん逆にしんどくなっていきました。覚えているのは、2〜3日平和なボートした感覚の中にいて、だんだん、なんか変な感覚が、とくに横隔膜あたりが、どんどん縮んでくる。。なんか世の中とうまく対応できない。
のちに説明しますが、こういった自己解放プログラムのようなものは、逆効果です。これは、心理療法的にも間違っていますし、体のシステムからみても大きな間違いです。
心理系のワーク、ソマティックエクスペリエンス(SE)を勉強したことがあります。
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心理系といっても「感情や思考や出来事」を対象にはせず、原因である体に残るトラウマのエネルギー=「神経系に溜まった未解放のエネルギー」にアプローチするワーク、その世界から見たトラウマとは何かをお話ししましょう。
心理の世界から見たトラウマワーク
ロルファーとして認定されてから、数年後にソマティックエクスペリエンス(略してSE)というトラウマワークを学びました。
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これは創始者がロルファーでもある心理療法の方で、それまでのトラウマワークの原則と大きく異なるのは、身体感覚からトラウマにアプローチする、ということです。心理、考え方、思考、感情を扱うのではなく、体の感覚から、トラウマを解消していこうというので、根本的であり、安全であると心理業界の中では今とても流行っているようです。
トラウマの原則
わたしの知っている範囲、認識している範囲で(間違ってたらすみません、詳細はセラピスト見つけて聞いてください。)ざっと概要と要点を話すと、、。
たとえば、怖い思いをした、その出来事や思いそのものではなく、その怖い思いをした場面に(生き延びるために)活性化した神経系のエネルギーが、解放されずにそのまま体を巡り続けている。
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つまり、怖い出来事があったときの神経系の活性化状態が日常に起こり続けている、、まるでまだその怖い出来事に対処し続けているように。だから、日常的にエネルギー消耗し続けているし、余裕がない。
トラウマは出来事や思いにあるのではなく、体(神経系)に残っています。それを解消するときに、言葉や思考、感情で理解しようとか解消しようとしても不可能です。なぜなら、脳の構成にあります。
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思考の領域(大脳)感情の領域(感情を司る脳の部位)身体感覚を司る脳の部位、というのは、独立しています。身体感覚、神経系を巡るエネルギーにアクセスするためには、その感覚を司る脳の部位にアクセスする必要があります。それは、脳幹といって爬虫類脳ともよばれる進化の歴史でみるところの最も古い脳です。それより上位の大脳にアプローチする心理療法は、ここにとどかない。だから、体からアプローチするワークが最も効果的で安全である、ということのようです。
トラウマワークの目的は、”感情の解放”ではありません。それは、知らずにやってると危険なことです。
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トラウマを受けた時、神経系は負荷を得ています。活性化しエネルギーが高まっています。その解消を試みる時、過去の出来事を思い出させたり、大声で叫んだり暴れたりすること、感情を感じ、じっくり向き合うこと、、これは、あぶないです。なぜなら、活性化状態が高い神経系が、それらの行為により、さらに負荷をかけられ、もっと無理なエネルギーを溜め込むことになる、トラウマの追加、になるからです。
では、なぜこのような感情を見つめたり、暴れたり、思考で理解しようということが行われるのでしょうか?やってみると、それは、とっても開放感が、そのときは、あります。ぼーっとしたり、平和な感じがするかもしれません。 しかし、これは大きな間違いで、体のシステムが限界を超えてしまっている状態です。
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それは、なぜかといいますと、神経系の観点からみると「オーバーフロー」しているからです。神経系が負荷をえて、さらに負荷をえる、、すると、どうなるか?ある一定のキャパシティを超えた時、神経系はもう、だめだ、むり、といって、シャットダウンします。負荷に耐えきれずにシャットダウン。ここはどんなところかというと、現実感のないところ。無感覚になっていたり、脳内麻薬出てたり。そう、一時的に、ラクになるのです。が、体のシステムは限界を超えて参っています。日常の負荷に、さらに負荷を得た状態で、日々をまた始めていく。。また、しんどい、、また、ワークを受ける、、終わらないです。
ですので、トラウマの解消というのは、トラウマを外せばいい!というのではダメのようです。トラウマから回復するためには、オーバーフローして再トラウマ化を防ぐ必要があります。
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圧倒されないこと、神経系が活性化しないように、ということで、ソマティックエクスペリエンスでは、一気に解消をさせようとは絶対にしません。すこしずつ、すこしずつ。ほんの一滴ずつ、、ほんの一滴の刺激が、キャパシティに収まっていれば、そこから解消を促します。それが、できなければ、それでも圧倒されてしまうのなら、まずは、その前段階として、開放の前に、刺激に耐えられるように、キャパシティを増やしていく。そのように、丁寧に、少しずつ扱われるべきなのが、トラウマの解消です。このように見ていくと、一般に溢れるトラウマ解放ワークはあぶないですよねえ。
このように、トラウマの解消のためには、ほんの少しずつの解放を、、一滴ずつ、一滴ずつ行い、神経系からエネルギーを解放していきます。これが、一つの流れ、ですが、トラウマワークの大枠、目的は何か?といいますと、トラウマの出来事の解放とか、感情の解放にはありません。
目的は、神経系が安定する、ということです。
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トラウマを受けた神経系というのは、安定していません。少しの刺激で、神経系の活性化が一気に上がってしまったり、健康な神経系では一度上がった活性化状態は自然と解放され(脱活性化)安定状態に移行しますが、トラウマを受けた神経系は、活性化がなかなか下がらず、脱活性化されにくい。この状態を、健康な状態に変えていくのがトラウマワークです。日常が、健康に。ということが目的であり、感情の解放が目的ではありません。
ボディワークから見た、体の変容と精神の変容
過去のブロックを外す?感情を解放する?自由になりたい。
これまで見てきたように、トラウマの解消は、出来事や感情の解放ではない。神経系が安定することにある、というのならば、、。この感情や思い、辛い出来事や過去のブロック、これをどうしてくれるんだ? 心理の世界ではなく、体からのアプローチでどうやってそれが解消していくのか。
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神経系が安定し、あるいは、体が安定し、健全が溢れていくと、、。心理も精神も、変化していくようです。安定した土台を持ったカラダ、余裕のあるカラダ、そんな人を想像してみてください。一方で、体は安定せず、土台もたよりない、少しの刺激で一杯一杯になってしまう、そのような方、違いは、出てくるのではないでしょうか?
ボディワーク、ロルフィングの10シリーズをして、クライアントさまと接していくと、徐々に、体も心も、、話す内容も執着も、変わっていくようです。そして、変容とは、忘れることでもあります。
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昔のことはもう思い出さない、なぜ、この10シリーズを受けにきたのか、何が問題だったのかは、もうよく覚えていない。そういったコメントをされるクライアントさまは多いです。ほとんどがそうです。
ただ、感情に固執し、そういったワークで自身を浄化しよう、ということ、怒りや悲しみにフォーカスし、そこから出てこない、という方は稀にいます。
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でも、それでも体は変わっていますし、10シリーズ後も変化をつづけ、いつかそこから出て、、ご自身のうちには絶対に損なわれない、生まれた時からずーっとそこにある生命の清らかな聖なる流れがあること、そこから放射していく光が浄化していくこと、自らを浄化し、周りの他者をも浄化していく光が放射していることに気がつけば。と思います。
10シリーズでやること、その他わたしのメニューで施術していることは、そのことです。それ(健全の姿、本来の姿)は初めからそこにある。それを遮っている歪みや淀みが、解消されたとき、隠れていた本来の姿が現れてくる。施術者はその生命の回復しようとする流れを、何も邪魔しない。
歪み、傷がそこにあるのは、なぜか?それは、健全の叡智であるという認識です。傷は、そこに体のしくみによって配置された。あなたを守るために。
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ある衝撃が、物理的であれ、感情的であれ、受けた時、その衝撃によって、全体が存在として崩壊しないように、生命のしくみは、そこにその衝撃を凝縮し、そのエネルギーをそこに保持して波及しないようにして全身がダメージを負い崩壊することを防いでいます。時間が過ぎ、回復の過程をたどり、、その役割を終えた時、その傷は、去っていく準備ができています。そのエネルギーは全体に還り、生命力は生きていくことに再び使われるようになるでしょう。元気になっていくでしょう。それが、ボディワークの世界観です。
個人的な体験のもとの指針を書いてみます。※ただし、どのワークも健全に向かうためのワークという点での理解ですので、精神や心理の治療については専門の医師に相談してください。わたしたちボディワーカーでは扱えません。
医師の元での治療を受けること。精神疾患などの治療については、その代わりになるワークやセラピストはいません。医師に相談することです。
心理の世界から見たワークで書きましたように、感情を見つめたり解放させようとしたりするワークは個人的にはやめておく方がよいと思います。
心理的・精神的なアドバイスや専門知識はボディワーカーは持っていません。体からのアプローチであるソマティックエクスペリエンスを療法に取り入れている精神や心理療法を扱っているセラピストを探していくといいでしょう。SEのセラピスト一覧のリンクがあるかと思いますので、後ほど掲載します。※バックグラウンドには心理の方、ボディワーカーの方の2通りがあるので、より専門知識を持った心理の方を探すと良いでしょう。
体からのアプローチで、体が変容していく。健全に包まれ、生命の本来の働きが現れてくる時、あらゆることが変わってくることでしょう。心理も含め、精神、スピリット、環境、人との関係性、地球との関係性、この社会、この生命体の集まる世界との関係性。そんなものの、全体性の調和、変容を、求める方は、ボディワークが合っているかもしれません。特にロルフィングは10シリーズで構成されており、その過程で、セッションルームでの施術だけではなく、その期間の日常や出来事、その個々人のもつ無意識的な、あるいは意識的なテーマがワークの流れに含まれていくでしょう。全体性、この世界、ご自身。生命とは、そんなことに興味のある方、お待ちしております。
※ロルフィングやボディワークは精神や心理にアプローチするワークではありません。心理や精神を対象にはせず、体の変容を対象にしています。ご了承ください。